フォーラム富山「創薬」総会挨拶


  会長の小野でございます。
本日はご多忙の折,フォーラム富山「創薬」平成16年度総会にご出席いただき,誠にありがとうございます。開催にあたり一言ご挨拶申し上げます。
フォーラム富山「創薬」は平成12年2月に発足し,今年で5年目の節目を迎えました。このフォーラムは富山県厚生部,富山県薬業連合会,医薬品企業,生命科学を専門とする県内各大学等の多くの会員の方々に支えられて,産学官が一体となって「くすり」の富山を発展,活性化し,新しい予防治療薬の開発に,知恵を絞る場の提供をするということから出発しました。
富山の薬は配置薬として古くから全国に名をはせてまいりましたが,県内には配置薬業者をはじめ医薬品製造業など薬に関係する企業が多くございます。富山医科薬科大学の薬学部も,皆様ご承知のとおり100年以上も前の明治28年に共立富山薬学校として設立された歴史ある薬学の教育研究機関でございます。本学の医学部,薬学部,和漢薬研究所という構成は,日本で唯一のユニークな大学であり,かつ富山という地域の特性を考えて「創薬」に焦点を当てたフォーラム富山「創薬」の活動は大学が地域には目に見える貢献を積み重ね,存在価値を明らかにするという目的をもったものです。
第1回の「神経疾患を対象とする薬物−末梢・中枢神経−と関連した研究」から,前回の12回の「Gender Specific Medicineからみた創薬」まで様々なテーマについて研究紹介を行い,県内の薬業界の会社紹介等を交え開催してまいりました。会員の皆様が,大学では一体何を研究しているのか,自治体の方々,薬業界の方々が何を求めておられるのかをご理解頂き,さらに研究会のみならず交流会の場を利用し,大学や企業における研究の現状や将来について,交流をして頂いたのではないかと信じております。
現在このフォーラム富山「創薬」は,本学及び富山大学,富山県立大学の関連する研究領域の研究内容を公開するという目的は定着しつつあります。今後は企業側と創薬のための共同研究を実行するという目的が残っております。ベンチ(実験台)よりベッドサイドまでという一連の創薬開発は総合科学の一つであり,基礎的研究と製薬会社を橋渡しするシステム,つまりトランスレーション・リサーチは,創薬の基盤でもあります。ただここで言っております創薬とは,薬自体はもちろんでありますが,診断用試薬及び方法,医療用具・器具,くすりの材形,薬物の臨床治験に至る幅広い意味を込めていることをご理解頂きたいと思います。
さて,平成14年度から本格的に富山・高岡地域の「とやま医薬バイオクラスター事業」が開始されました。医薬・バイオの技術と電子・微細加工の技術を融合し,新しい診断機器の開発や富山オリジナルの創薬による新産業の創出と実用化にむけて研究が進められております。
300年の歴史をもつ「くすりの富山」は,和漢薬や医薬品など本県に蓄積された産業等のポテンシャルを生かし,研究機能や産業の集積に力を入れる時であると思います。フォーラム富山「創薬」発,富山オリジナルブランド配置薬研究会により開発された,富山の新配置薬「パナワン」が配置薬業の皆様の手で,まもなく全国の家庭に届けられます。
皆様ご承知のとおり,本年4月1日から国立大学は国立大学法人として新たなスタートを切りました。県内の産業界の皆様が大学の知を積極的に活用され,大学は産業界の経営のノウハウを学び,県や市のご援助をうけながらフォーラム富山「創薬」が産学官の連携を強化する役割を担うことにます。国立大学法人富山医科薬科大学もこの会を大きく育てるために尽力していかなければならないと存じます。
最期に,この会にご賛同,ご尽力いただいております富山県薬業連合会,医薬品企業各位,富山県厚生部,富山大学をはじめとする県内の各大学,富山県新世紀産業機構ならびに個人会員の皆様に一層のご協力をお願いして総会の挨拶といたします。
 
平成16年5月20日
                フォーラム富山「創薬」会長
                富山医科薬科大学長  
小 野 武 年
 

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