日時:令和3年5月11日(火)14:30~18:45
場所:ホテルグランテラス富山 4F 「瑞雲の間」

今回はコロナ禍の折、会場とZoomによるオンライン同時配信(ハイブリッド方式)により開催し、会場には34名、Zoom受信では69名と100名を超える参加があった。
富山大学和漢医薬学総合研究所の早川芳弘教授のコーディネートにより、「がん間質ネットワークの理解による疾患制御」をテーマとして、がん細胞の運命制御に関わる間質細胞における様々な分子機構の研究やその解析に関わるモデルならびに方法論について議論した。

特別講演では、MEK阻害剤であるトラメチニブなどの開発に携わられ日本のアカデミア発で大きな成果を挙げられている、がん創薬研究のトップランナーである京都府立医科大学創薬センター長の酒井敏行先生を講師としてお招きした。
参加者アンケートでは、「創薬までの経緯が参考になった(企業)」「先生の研究の進め方が参考になった(大学教員)」「先生のがん予防ジュース開発が強烈に印象に残った(大学院生)」など、大きな反響があった。

一般講演では、自然免疫系のがん・免疫病態における役割や和漢薬の薬理作業における免疫応答の役割について研究を進めておられる富山大学和漢医薬学総合研究所の早川芳弘教授、がん変異細胞と正常細胞との細胞競合という現象に着目したユニークな研究に取り組んでおられる東京理科大学生命医科学研究所の昆 俊亮講師、間葉系幹細胞の特異的マーカーとしてGPIアンカー型細胞表面タンパクのMeflinに着目してこの分子を発現する腫瘍関連線維芽細胞に着目した研究に取り組んでおられる名古屋大学大学院医学系研究科の榎本 篤教授、中枢神経系の特異的な微小環境におけるがん細胞と間質細胞の双方向性エピジェネティクス制御機構と分子標的治療や放射線治療に対する耐性や神経免疫システム再構成への関わりに着目して研究を進めておられる金沢大学がん進展制御研究所の平田英周准教授、独自に開発したTAS-Seq法によりマウス検体のみならずヒト手術検体やヒト生検検体などを解析するなど肺線維症モデルにおける炎症の慢性化についての研究を進められている東京理科大学生命医科学研究所の七野成之助教の各講師から、基礎研究と臨床研究の様々な角度(切り口)による最新のがん研究の成果について大変興味深い話があった。

今回のハイブリッド方式による研究会の開催は当フォーラムにおいては初めての経験であり、「Zoomの音が少し聞きづらかった」など一部課題があったものの、概ねスムーズに運営することができた。
今回の特徴として、これからの創薬研究を担う大学院生や学部学生が多く参加し、また、複数の参加者から「参加しやすいZoomによる配信をコロナ禍の後も併用されては如何」との声もあったことから、今後の研究会において取り上げるべきテーマの検討とも併せて、より多くの参加を促すための運営の在り方が示唆された。

各講演要旨についてはタイトル(緑字)をクリックしてください(PDFファイル)

テーマ『がん間質ネットワークの理解による疾患制御』
早川 芳弘(富山大学学術研究部薬学・和漢系(研究所)教授)

特別講演

講師:酒井 敏行(京都府立医科大学創薬センター長) 座長:酒井 秀紀(富山大学学術研究部薬学・和漢系(薬学)教授)

一般講演

講師:早川 芳弘(富山大学学術研究部薬学・和漢系(研究所)教授) 座長:岸 裕幸(富山大学学術研究部医学系教授)

講師:昆 俊亮(東京理科大学生命医科学研究所講師) 座長:櫻井 宏明(富山大学学術研究部薬学・和漢系(薬学)教授)

講師:榎本 篤(名古屋大学大学院医学系研究科教授) 座長:笹原 正清(富山大学学術研究部医学系教授)

講師:平田 英周(金沢大学がん進展制御研究所准教授) 座長:中川 崇(富山大学学術研究部医学系教授)

講師:七野 成之(東京理科大学生命医科学研究所助教) 座長:早川 芳弘(富山大学学術研究部薬学・和漢系(研究所)教授)

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